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「どうぶつの森」の文字入力方式から学ぶUX改善の重要性

去年の11月に任天堂が「どうぶつの森 ポケットキャンプ」というアプリをリリースしたのはまだ記憶に新しいですよね。

私はもともとNINTENDO 64の 「どうぶつの森」 をやったことがあったので、その時お世話になった「ブーケ」というキャラクターに挨拶できればそれでよかったのですが、ブーケは最初から実装されていたので、案外すぐ満足してしまいました。

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そんな「どうぶつの森」ですが、今はアプリになってスマホのキーボードを出現させてしまえば済む話である文字入力も、64時代はかなり特徴的なデザインで、最初は戸惑いましたが慣れるとかなり早く入力できるものだったので、とても印象に残っています。

今回はそんな「どうぶつの森」の文字入力方式にも触れながら、文字入力を快適にするって大事だよねという話をしたいと思います。

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UXとは

みなさんがサイトを閲覧する時やアプリを使う時に、「このサイト使いにくいな」だとか「押すつもりないのにボタン押しちゃった」という小さなストレスを感じることがあると思います。

そのようなストレスをユーザーに感じさせないような、見やすい、使いやすいサイト・アプリを構築するために欠かせないのがUIUXという概念です。

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称で、「人と物が接触する部分」を意味します。 サイトであれば、ブラウザ上で表示されるフォント、画像、ボタンなどユーザーの目に触れる外観を「UI」と呼んでいます。

UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称で、「人が物やサービスを通じて得られる体験」を意味します。 例えば、「読みやすいフォント」「サイトの回遊がしやすい」「ECサイトで商品の購入までがスムーズ」といったサービスは全て「UX」に関わるところになります。 Webサイトやアプリに限らず「丁寧な対応」というユーザーが感じる全てのことがUXに当てはまるのです。

by 【今さら聞けない!】UI/UXの違いとその学習方法とは! | TechAcademyマガジン

techacademy.jp

つまり、UXを改善するということは「○○しやすくする」ということになります。

どうぶつの森」の文字入力方式

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任天堂は64からコントローラーにアナログスティックを搭載しており、このアナログスティックのおかげで上下左右以外の方向にも入力が可能になりました。

そのスティック操作の特徴をうまく生かしているのが「どうぶつの森」の文字入力方式で、下の動画で見ていただくとわかりやすいですが、

  1. 下入力で「あかさたな」「はまやらわ」を選択
  2. 左、左上、上、右上、右の入力とAボタンで「あ・か・さ・た・な」の一つを選択
  3. 左、左上、上、右上、右の入力とAボタンで「あ・い・う・え・お」の一つを選択

という操作をしています。

※動画はゲームキューブのものですが、入力方式は同じです

アナログスティックと、3回の入力の組み合わせで必ず一文字打てるので、ドラクエなどの一般的な文字入力画面で発生するような『今いる文字から次の文字までの文字間の距離によって入力数が変わる』ということは起こりえません。

【参考】一般的なドラクエの文字入力画面

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どうぶつの森」ではゲーム内で手紙を書くことができたため、その上でどうしても文字入力のストレスを軽減する必要がありました。

そのために、このような特殊な入力方式を採用してでも文字入力のしやすさを改善する必要があったのだと考えられます。

さて、この手順を見るとフリック入力にかなり似ていると思いませんか?

フリック入力

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スマホが普及して今や当たり前になったフリック入力ですが、みなさんもガラケーからスマホに買い換える時に「こんなの早く打てねえよ」と思いませんでしたか?

でもやっていくうちにフリック入力の方が断然早く打てるようになりましたよね?

これも先ほどの考え方と同じで、"あ"を打つ時と"お"を打つ時でボタンの押す回数が異なるガラケーの入力方式と違って、

  1. 「あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」の一つを押さえる
  2. そこから上、右、下、左に指をすべらせるか、そのまま離す

の2回の動作で必ず一文字打てることになります。

つまり、「どうぶつの森」の文字入力方式とフリック入力、両方に共通していることは

同じ手数かつ少ない手数で1文字打てること

であり、これが文字入力を快適にしている仕組みなのではないでしょうか。

フリック入力は日本語にとって最適である?

フリック入力iPhoneが採用したことで広まった入力方式ですが、実は、今でも当たり前のように多くの人がフリック入力で入力している、という国は日本以外にあまり見られません。

他の国はキーボード配列を両手持ちで入力しているところが一般的なようです。

matome.naver.jp

もともとあったガラケーと同じような配列にできたことに加え、「あ・い・う・え・お」がちょうどタップとフリックだけで表現できたので、日本人の手に馴染んだのでしょう。

フリック入力は今の所、一番日本語の特性にフィットしている入力方式であり、フリック入力が文字入力のしやすさ、というUXを大きく改善したと言ってよいでしょう。

まとめ

我々、特に日本人にとって、新しいデバイスが出るたびに文字入力というUXに重点をおく必要があるということは伝わりましたでしょうか。

昨今はVR内での日本語入力方法などが研究されている*1ようですので、新しい技術やデバイスが生まれるたびに文字入力のしやすさを求めていく必要がありそうです。

ちなみに、ドラクエ形式の文字入力のしやすさを改善しようとしたゲームの一つに「どこでもいっしょ レッツ学校」というPSPのゲームが挙げられます。

この文字入力方式は『2つのカーソルが連動して動き、打ちたい方のカーソルのボタンを押す』というもので、かえって混乱を招き結局片方のボタンしか押さない、という人も多かったはず。

改善って、なかなか難しいんですよね。

なのに、フリック入力が生まれるずっと前に似たような入力方式を創り出した任天堂ってやっぱりすごい。

*1:【参考】www.moguravr.com